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Home|Photo diary (Next/Prev.)|Links |about us. eMail !!|chips|Serch photographers |BlogMURA 父が歩いたといふ山 落ち葉踏み行く -- 父が逝って早十余年。僕の実家では命日に、 銀舎利のおむすび(素握り)を…三個供えることにしている。 これは僕の父が通っていた、前橋・城南小学校でのハナシ… 時は昭和15年頃、太平洋戦争まっただ中。皆がお腹を空かせていた時代。 国道17号線が、前橋から渋川へ向かう途中に「橘山」という山がある。 ある春の日の遠足の朝、父は朝の用便が我慢できずに粗相をしてしまった。 躾に厳しかった祖父は「罰」として、弁当のおむすびを一個減らした。 三個のおむすびが二個になってしまったが、 久しぶりに食べる銀舎利のおにぎりに、まだ父の胸は弾んでいた… 小学校を出発。軍隊の行軍よろしく、唱歌を歌いながら歩いたのだろうか。 今でこそ車で十数分の距離だが、戦時中の悪路のこと、 子供の足には一日がかりの「遠足」だったことだろう… 昼に橘山の頂…と言っても、国道から15分も歩けば着いてしまうような 小さな山だが…に着き、お待ちかねの弁当の時間となった。 喜び勇んで、腰を下ろすのももどかしく、 弁当を広げたその瞬間(とき)だった… 二個のおむすびの内、一個が…転げて藪の中へ消えていった… 父は…泣きっ面で、一個だけ残ったおむすびを大事に大事に食べた。 でも、どんなに大事に食べても一個のおむすびは… 半日歩いた子供のお腹を満たすには到底足りるものではなかった 長い長い道のりを歩いて帰った父は生涯、橘山という名前を忘れることはなかったようだ。 享年59歳で急逝した父。手術の合併症で、最後は十日も米の飯を食えずに死んでいった。 でもきっと、あの日…橘山から帰った晩の御飯は美味しかっただろうな… -- お読み下さい:掲載写真の著作権について New !! Photographer : myu.Kurosawa date : Dec.7.2007 Title : "橘山(たちばなやま)" f=8.0, T=1/50, ISO=50(Apature-priority) Lens/Camera : LEICA DC VARIO-ELMARIT/Panasonic FZ-2 Home|Photo diary (Next/Prev.)|Links |about us. eMail !!|chips|Serch photographers |BlogMURA
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| 2007-12-15 10:09
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